神が泊まる村

蓋を開けたのは誰?  陰(いん)の闇が溢れた。 長編小説連載中。

椿童子−光希 9

「現実とは思えない出来事だったのに……」

 私は、火箸を手に取り炭を弄りながら話し続けた。
「瞼の裏に焼きついた血の赤が、逃れようにも逃れ得ない現実なのだと、私を後々、妙な説得力をもって納得させ、あの時の事を考えるのを恐怖から一切奪ったように思う。言い訳に聞こえるかもしれないが……、養子となって境遇も変わり、忘れようと努力してきた。だが、あの血の色だけは拭おうとしても拭い去れず、いまでも目蓋の裏に焼き付いている……」
「……おい……」
 一郎の低い声で遮られた。
「……何だ」
 炭を弄る手を止め、燃える火から目を外さず、訊いた。
「姥ぁに言われるまま、すぐ村を出たのかよ」
「え?」
 質問が分らなく顔を上げると、一郎は、私にではなく冬季に言っていた。
 冬季は、私と同じ様に炭を見ていて、一郎の方は見ず、応えた。
「村の内で姥様の言葉は絶対だ」
「光希に会わずか?」
「社務所で匿われていて、許されなかったのもあるが、足を踏み入れるのは御免だった」
 恐れが僅かに感じられる抑えた声の応えだった。
「光希が襲われた時は、何処に、居たんだ」
 一郎は怒りを抑えた低い声で続けて訊いた。
「少し離れた雪の中に居た」
「えっ」
 私は驚いた声を上げた。

 少し離れた所って……。一部始終を……、では……。
 てっきり冬季は、社務所に戻ろうと駆け離れ、途中で引き返してきたものとばかり思っていた。全てを見られていたのかと、私の顔から血の気が引いた。か、逆に上ったようでもあった。

「……光希が噛み付かれたのを見て、私は……、逃げたのだ」
「ああぁっ?」
 一郎が怒りに満ちた声を上げた。
「助けようとは思わなかったのかよ!!」
 古い家屋を震わせる程の大音声だった。一郎の光量が一気に増した。
「もう一度首を絞められても、助けに入ろうとは思わなかったのかよ!!」
 目に痛い程放出させた光が、怒りそのものを現しているようで、私は声の振動諸共、震えて制した。
「む、無茶言うな。一郎。誰だって逃げる」
「俺は逃げねぇっ。だから腰抜けなんだ!」
 一郎はいきなり冬季の胸倉を掴み上げた。
私は火箸を捨て、殴りかかろうとしたところを止めた。
「殴りたければ殴れ」
 冬季は胸倉を掴まれたままでも、常と変わらない光で、静かに一郎に顔を合わせていた。
「遠回しに神事で役に立たなかった事を詰っても、光希を助けなかった私を非難する者は誰一人として居なかった」
「開き直るのかよ!」
「お前は正しい」

 ……あ……。

 一郎の怒りが急激に引いたのが、光で分かった。くっと顔を背けたかと思うと、掴んだ胸倉を離し、どっかと腰を下ろした。腕を組み、苛々し気に後頭部を掻いた。

「一郎……。あの時は逃げた方が良かった。冬季の首を絞めた、識峰様の力は容赦なかった」
 私は言いながら放った火箸を拾い、火鉢に刺した。
 一郎が拳を収めた理由も、冬季が昔のように一郎を度外視していない理由も、何となく分る気がした。

「私は……な」
 冬季の声がしたので、顔を向けた。
「お前が嫌いだった」
「……うん……」
「はっ。どんな理由で。訳とやらがあるんだろう」
 そう訊いた一郎の声は乱暴であったが、怒りは一切消えている。一郎もまた冬季を、昔のように訳の分らない相手だとは思ってないに違いない。

「今度こそ殴ってくれて構わない」
 一郎にそう言うと冬季は、何を思ったか、喜右ヱ門の方に顔を向けた。

 先程からの騒ぎに構わず、喜右ヱ門は、終始ずっと俯いていた。
 その姿を見た後、冬季は私に顔を向けた。

「告白する事がある。私の、同じ晩の事を話そう」

 冬季は、火鉢の横に置いていた湯飲みを手に取り、最後の一口を飲み干してから、常と変わらない口調で話し始めた。




つづく

椿童子−光希 8

 顔を正面に据えていたが、ぽっかりと開いた口腔の更なる赤と、そこから伸び出てくる舌のべっとりとした赤が、瞼の裏に焼き付き、消えなかった。体中を舐められた。右肩、右腕も胸も、背中も、血に染まっていたのだろう。何度も何度も舐め上げられ、飲み下される音を耳元で聞いた。私は識峰の手によって何も知らなかった清童ではなくなった。

「……っ、……」
 名前らしきものを呼ぶ声が繰り返し聞こえた。
 私の名ではない名前。

 ここで何をしているのだろう……?

 自分が何故、ここに来なければならなかったのか、それだけを空ろに繰り返し思っていた。


 閑寂とした雪の中で、自分の呼吸音だけを聞いていた。
 いつの間にか視界からは、識峰が姿を消していて、私は治まる事なく熱く火照った体を横たえたまま、やがて置き去りにされた事を悟りつつ、周りに散らばった赤い色ばかりを見て雪に埋まる事ばかりを願っていた。


 ……冬季ちゃん……?
 気が付いたら小さな背に負ぶわれ、山から下りている最中だった。
 ……無事だったんだ……。
 己とそう変わらない相手を背負って雪面を降りるのは無理があり、途中、冬季は足を滑らせ、私は雪の上に転がった。
「光希っ」
 身動きが出来ずにいると、冬季は慌てて抱き起こしてくれた。
「ご免。光希。ご免」
 どうして冬季が謝るのか分らなかった。
 傷を見て泣いているのだろうか。

「ご免。ご免な。光希。ご免」
 泣きながら冬季は、ご免、を繰り返した。

 冬季ちゃんが無事で良かった……。

 冬季は再び私を背負い直し、山を下り始めた。
 咽び泣き息を弾ませながら負うその背が、とても暖かく、優しく思えた。

 しかしその小さな背も、村にはもう必要ないと言う姥様の言葉で、冬季は余所に引越し、二度と見る事は無かった。




つづく



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椿童子−光希 7

 ……熱い……。
 体中の血が沸き立つような熱さに意識が引き戻された。右の肩から腕の感覚がない。
 ……雪?
 顔がつくかと思う程、近くに見えたが、冷たさを感じない。倒れたのかと思った。

 血の匂いが辺りに濃く漂っている。

 噎せ返る程の匂いで、理性という理性が働いていないようだ。
 不意に抱き起こされ、自分はやはり倒れていたのだと分かった。
 それにしてもなんて乱暴な起こし方なのだろう。

 ……誰……?

 口元はおろか首元まで真っ赤に染めたあの空恐ろしい笑みが背後にあった。
「ぅ、うわぁあああっ」
 開放された訳ではなかった。暴れ逃れようとしたが、背後から抱き押さえられ、同時に起こった腰下からの痛みに、更に信じられない事態に陥っている事が分かった。

 識峰がしているのが、何の行為であるのか、分からない程の無知でもなかった。


 真夜中、たまに妙な空気を感じて目を覚ました事がある。
 初めは、母が父に苛められていると思えたが、苦しくもいとおしそうに呼び合う二人の声が聞こえ、そうでない事が分かると安心し、寝た振りをした。本当に眠ってしまったのだが、いつもの事となるとあまり気にもならなくなった。
 しかし、そのような翌日は、普段通りの筈なのに、いつもより二人が幸せそうに見え、さすがにその内興味を抱くようになり、父に聞いた事があった。
 父は、普段は清廉で真面目な人だったが、性に対しては大らかなところがあり、少し照れた様子で簡単にも、子供でも分かるように説明してくれた。

「全てを今、理解出来なくとも、光希にも分かる時がくるよ。愛情がなくても出来る行為だが、本当に愛している相手とであれば、この上も無い幸せを感じる事が、二人の間でしか通い合わせない幸せを育む事が、出来るよ」

 そう言う父の様子は、言葉通り。否、それ以上に幸せそうで、母からは訊かなくとも分るくらいだ。
 そんな二人の子供でありながら羨ましく思う事もあったくらいだった。


 しかし識峰がしているのは、私の両親がしていた事とは、まるで違う、別の事だったろう。





つづく



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椿童子−光希 6

「識峰……様」
 冬季の声だ。
 私は、はっとして顔を上げた。白い着物が目の前に迫っていて驚いたが、顔は横を向き、左下に向いている。その視線の先には、冬季が居た。

「あっ」
 声を上げたのは、私。
 識峰が冬季の首を突然、締め上げた。最初から細い首を、ぐい、と高く掲げ、子供の冬季の足は容易く地から離れた。
「駄目っ」
 私は仰天して二人に取り付いた。
「放してっ。放してったらっ」
 識峰の腕はびくともしなかった。何とかして離してやろうと私は何度も識峰の体を殴った。
 冬季は、声も出ない様子で僅かにもがき、抵抗らしい抵抗も出来ないでいる。首一点に体重がかかり、締め上げられ、首を吊られているのと同じだろう。
「何も悪い事してないよぉっ」
「……あき……と……」
「お願いだからっ」
 識峰は低く何事か呟いたかと思うと、冬季を投げ捨てた。
 冬季は雪の上を転がり、噎せ返るように首を押さえて息を繰り返した。
「……あっ」
 今度は私が掴まった。上から屈み込まれ、大人の体重がかかり、踏ん張ったが適わず、雪の上に膝を落とした。
「い、いや……」
 先程の笑みが識峰の顔からはいつの間にか消え、怒りに目を剥いた形相をしていた。私の顔に付くくらいに寄せられ、私の体がまた恐怖に震えだした。
 悲しんでいるようにさえ見える怒り。己の激情の向く先に裏切られたかのような、やる方なくも向けずにはいられない悲しい怒り。

 ……そんなにも……。

 僕の事を?感情がそう傾きかけたが、

 ……識峰さんではないっ。

 ふと、我に返った。
 激情を向けられる覚えがないのもあるが、ならば何故自分に向けられているのか、まるで得体の知れないものを相手にしているような錯覚に陥った。

 神が人に泊まる……、神泊り。

 着物の合わせ目に手がゆっくりと掛けられた。
 何をするつもりなのか考える間もなく、左右に着物が広げられ、目の前に識峰の顔が下りてきた。
 喉の奥まで見える程大きく開いた口が迫り、右肩に激痛が起った。
「……かっ」
 息が詰り、悲鳴が喉の奥で止まった。
 止める事無く識峰は歯を食い込ませてゆき、肩の肉が食い千切られてゆく音を、私は体の内部から聞いた。
 ばき……
 生枝を折るような音が続き、意識が消えた。




つづく



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椿童子−光希 5

 目が、合った。

 ……いつの間に……。

 尋常ではないように見えた。

 識峰さん……だよ、ね……。

 ふら、とした調子で足を進めてくるその人がそうだとは思えなかった。

「御歳二十九歳。お優しい方での。気さくに我にも話しかけられ勉強もみて下さる。お顔も優しげで、背は高い方だの」
 何かの折、喜右ヱ門がそう話してくれた事があった。
 こちらに向かってくる人は、確かに、背が高く、父くらいはあり、実に見目形が良い。しかし、その整った容貌は一片の感情も窺えない無表情で、同じような無感情であっても冬季とは全く違う、永久(とこしえ)の空虚さを感じさせ、優しさなどとはかけ離れている。両眼だけが冷酷さを宿し、鋭い光を爛々と放って私を見、確実に私を捕えた。

 進められてくる歩調に合わせて、ゆっくりと後退った。
 視界に、冬季が見えない。姿を求めようと視線を外そうとしても識峰から外せず、声も出ない。目を逸らしただけでも、相手を触発してしまいかねない緊迫感がいつの間にか生まれていた。

 ……助……けて……。
 体が勝手にがたがたと震え始めた。

 識峰の顔に笑みが広がり始めた。
 ……何?……。
 心底から徐々に湧き上がってくる笑み。
 何……がそんなに嬉しいの?
 まるで長い事待っていた相手に漸く会えた時のような、そんな笑みに見え、私自身にそんな笑みを向けられる覚えはなく、尚空恐ろしいでしかなかった。

 後退り続けた私の背が、雪の壁に塞がれた。
 ばさ……ばさり……
 背後の雪は柔らかく、目の前に白が振り落ちてきた。それに混じって赤い小さな色が鼻先を掠めた。

 ……狂い咲き……。
 私の目が追い、下りた。
 雪肌に、赤い赤い、真っ赤な花びらが一片(ひとひら)。
 ……ああ。何て良く見えるのだろう。
 私の意識は足元に集中した。




つづく



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椿童子−光希 4

「ね、冬季ちゃん。あそこ」
 天蓋の杉の枝が一段と濃い所で、一度、足を止めていた。
 月光が差し込まず、方角を見失った素振りを冬季が見せたからだ。
 白い色はよく見える私には、視界が先程とそう変らず、相変わらず木立が縞々に見え、道らしき拓きが見えている。少し上がった所に、途切れた白い空間が僅かに見え、そこを指差して言った。

「木が切れている所がある」
「何!?」
「とりあえずあそこに」
 行こうと言う前に、冬季は駆け上がるようにして登っていった。

 何を急いでいるんだろう……?

 やがてその場所に出た。
 四方、五メートルくらい平らで開け、山側には、雪に隠れながらも土の壁が所々覗いている。
 登ってきた丁度正面には、大人の手で一抱えもありそうな岩が祀る様にして立っていた。

「ここだ」
 冬季の呟きで、やはり目的地をもって登っており、ここがそこである事が知れた。
 平面の縁を辿るように、ぐるりと一周し始めた。

 私は小休止とばかりに体の雪を払った。
「……妙な所だね」
 地形の具合か、風向きか。極端にここだけ雪が少なかった。少し掘れば土が見えそうなくらいである。
 ……まるで誰かの訪れを待っているみたい。

「居ない……な」
 確認する口調で冬季は言った。
 探す相手がここに居ると教えられていたのだろうか?
 目的地がここであり、肝心の人物が居ないのであれば、一旦戻るのが得策に思えた。
 それでも尚も諦め切れないのか、冬季は縁のぎりぎりの所まで歩み進み、じーっ、と木立の中に向かって目を凝らしている。

 私は手を合わせて息を吹き込み、指先を擦り合わせた。
 戻ろう、と声を掛けようと顔を上げた時、視界に違和感を感じた。
 木立の黒い縞が一部、ごっそりと消え、白ばかりに見えた。

 木が、消えた?
 有り得ない、と、消えた左側に、顔をゆっくりと向けた。
 人が、居た。
 白い着物を着た人が一人、立っていた。




つづく



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椿童子−光希 3

 裏口が社務所には二つある。
 奥の部屋から数部屋隔たった所にある北側、もう一つは薪置き場に近い東側。
 山に近い北側の方から、私と冬季は外に連れ出された。
 てっきり持たされると思っていた灯火の類いも持たされず、着物と袴だけの姿で雪山に登らされた。
 致死行為である。
 気休め、この年の降雪量は平年よりずっと少なく、雪解けが始まっていた。
 昼間に解けた雪が、夜には凍って堅雪となり、そのお陰で余り埋もれず、早く歩き進めた。

 うん。この分なら、早目に見付け出して連れ戻せば……、大丈夫。

 楽観的に思ったが、遅れれば凍傷の憂き目に遭うのは分り切った事で、その不安を消す為であった。
 振り返れば、白い袴姿の息子達が社務所の外で待機しており、とにもかくも登らなくては、神社に戻るどころか家にも帰らせて貰えない、と思えた。

「どうして僕達だけなんだろうね。大人達で探した方が早いよね?」
 両手を擦り合わせ息を吐き暖めながら、冬季に疑問を向けた。

 普通はありえない。

 山での捜索隊は小さく分けても5・6人で組むのが最適だ。発見した行方不明者が怪我をしていて歩けない場合に運び下ろす手が必要になるし、動かせない場合は、残る組と下に知らせに行く組と、更に分かれる必要が生じる。捜索隊自体が方角を見失う二次被害を避ける為にも、何人かのベテランを含めた方が良いし、最悪、方角を見失った場合、怪我人が出た場合も考えると、やはりそれくらいの人数は必要だ。
 子供だけで雪の中、しかも夜、山に登って行方不明者を探すというのは、常識非常識以前の問題だ。

 致死行為だよ……。

 冬季は黙々と先を歩いている。
 喜右ヱ門もそうであるが、振り返りもしない徹底した無視は、今が初めてではない。以前から自分と話したがらない様子を見せていた。
 だが、この状況に於いて尚も無言では、山を余程知らないか、無口な質であるか、さすがに嫌われていると思えた。

 ざく……ざく……

 粗いかき氷を壊すような音が、足を下ろす度に立つ。その音以外に音はない。

 大きく息を吐き、周りを見回した。

 月の冴えた光が天蓋の杉の合間から差し込み、雪肌を白々と照らし、視界には困らない。
 木立は黒く寂然と浮かび上がっている。
 距離感がいまいちない私の目には、木立が雪の白さでより黒く、縞模様のように見えていた。根元には、穴が開いているものがある。
 冬季はそれを承知で避けて歩いている。
 春の始まり。幹から伝い落ちる水によって出来る、根回り穴と呼ばれる穴だ。この穴が開けば、春はもうすぐそこまで来ている。
 見える縞々の太さで私も距離を測り、気を付けて進んだ。

「冬季ちゃん……」
 不安と寒さに負け、再び名を呼んだ。
「大人達は、他の山を探している」
 意外にもすぐ応えが返ってきた。
 先程の質問の答えだろう。
 冬季は応えながら、背後になった、村の左右の山に手を振り示していた。

「やっぱり僕達だけなんだ。どうして?」
 応えがあった事に嬉しくなった私は、訊いた。
「自分で考えろ」
 そう言って冬季はさっさと止めた歩みを再開した。

 ここに至る迄の事情を僕よりも知っているのか。
 この山は冬季にとっても始めて登る山の筈だ。
 なのに、迷いも見せず登ってゆく。
 そう思ってついてゆくと、雪の下に道があるのか、左右の木々の間隔が拓(ひら)けているように思えた。

 先に社務所に来ていたから、姥様から何か聞いるのかな?
 教えてくれてもいいのに。そう思ったが、気後れし、言い出す事が出来なかった。

 どんな人なんだろう?
 探す相手は会った事もない人だった。
 本当にこの山に居るのかな?

 進む先の雪上には足跡が一つも見当たらない。
 無音に近い雪の山の中、冬季と二人で登り続けた。




つづく



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神泊(旧・月森) 光希

初音 一郎

神泊喜久枝 (姥様)

斎 喜右ヱ門 (エモン)

月森 冬季

神泊 桃花

『神が止る村』 相関図
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