神が泊まる村

蓋を開けたのは誰?  陰(いん)の闇が溢れた。 長編小説連載中。

先夢−雪椿1

 主人公の見ている夢の断片から、物語りは始まります。。。




 あれは三月の中旬だったように思う。

 雪の下に桜の蕾が付いていたのを見付け、随分早いなぁ、と驚いたのを覚えている。私が住まう村では、下旬過ぎに膨らみを付けるのが、例年通りであった。

 早い、と驚いたくらいなのだから、やはり中旬頃なのだろう。
 玄関を激しく叩く来訪者があった。

 対応には父親が出たように思う。母親も一緒だっただろうか?とにかく一足先に私は,寝床に入り微睡(まどろ)み始めていたので、戸を激しく叩く音も驚き怒鳴るような父親の声も耳には届いていたが、妙な夢だな、などと思っていた。

 母親が慌しく寝屋に入ってきて私を叩き起こした。これには吃驚した。

 私の母親と言うのは、子供の目から見ても嫋(たお)やかなおっとりとした女(ひと)で、幾ら軽めとはいえ頬をぺしぺしと叩いたりいきなり布団を剥いだりした事がなかった。それ故か、未だ夢と現(うつつ)の境が曖昧だった故か、吃驚序(つい)でに混乱してしまった。
 母親はそんな私に乱暴気味に服を着せ、丹前を羽織らせてマフラーも巻いた。

「何処(どこ)か行くの?」
「逆らっては駄目」

 押し殺した声で母親は返した。無言で私の手を掴むと玄関へと向かう。ぎゅう、と握られた手が痛かった。


 父親が玄関に居て、見知らぬ男も土間の上に居た。

 こちらに背を向け、年齢は分らない。
 立ちながら器用に貧乏揺すりをしている。今にも駆け出しそうな落ち着きのなさだ。体の揺すりに合わせて頭の先から爪先まで雪を被った粉雪が、はらはら、と降り落ちている。余程急いで夜の山道を登ってきたのであろう事が分り、今も未だ急ぎの途中である事も、子供ながら即座に察せられた。

 男は私を認めると大きく身じろいだ。逆に驚く暇もあればこそ、母親の手から私を強引にひったくり、土間へと引き摺り下ろした。

「×××××」

 この時私は、両親を呼んだのであろうが、どちらを呼んだのかまでは記憶にない。
 訳もなく不安になっていた。否(いや)。訳はあったのだろう。
 常にない母親の慌て振りや不安が移ったのかも知れなかったし、強引な男の仕草に戦(おのの)いていたのかもしれない。

 父親は板の間で仁王立ちになっていた。
 怒りを押し殺しながら伺う声で、男に向かいこう言った。
「見付けられない時、この子はどうなる」

「連れてくぞ」
 有無を言わせない男の言い様に、ぐぅ、と父親は何かを押し殺したような声を出した。

「待って下さいっ。せめて靴を」

 母親が私の足を掴んで長靴に突っ込んだ。その時になって私は漸く、両親共に部屋着のままで出掛ける様子がない事に気が付いた。

 僕だけが出掛けるの?この人と?

 行きたがらない私を母親が抱き締めた。
「粗相のないようにね。しっかりお勤めしてきなさい。大丈夫。とにかく、粗相のないようにね」

 母親が、よろしくお願いします、と言い終わらない内に、私は夜の戸外へと引っ張り出された。
 男の手に強く握られ山を下る道へと引っ張られてゆきながら、私は家を振り返った。

 玄関の明りの元、お辞儀をした黒い影が二つ並んでいるのが見えた。

 それが、両親の姿を見た最後だった。




 ぽつ、と。
 白い雪の上に赤い花が咲いた。




夢の断片は、つづく


真夜中の訪問者は何者なのか?
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ありがとうございます!!

kikurageさん>
こんばんはっ!!
リンクの承諾だけでなく、読んで頂いた上、感想まで!!ありがとうございますっ!!リンクも貼って頂けるなんてっ!こちらこそ嬉しいですっ。お願い致します!!
昨夜、一気読みしてしまった(させられた☆)
「高所の徘徊者」は読みやすく、展開が飽きない。
とにかく、次へ次へと気になるストーリーで、
そんなkikurageさんに感想をいただけて、ちょっとドキドキ^^;
あちこちの訪問先でコメントも読ませていただいたこともあり、
「するどい方だな。つーか、大事なところを押さえてる」と、感心していました。

『我が子の連れて行かれる所を知っている様な』
さすがです!どこか遠いところ」ではなく、「知っている場所」
母親に「粗相のないように」と言わしめる場所。
重要なようでいて、素通りしてしまいがちな点を!
読み込んでいただいて、嬉しいですっ☆

ではでは、早速リンク貼ります☆
これからどうぞよろしくお願い致します!!





こんにちはです^0^/

この度は、私の所へご訪問して頂いて、コメントまで頂きまして、有難う御座いましたm(_ _)mペコリ

早速ですが、私もc.pさんの小説の方を拝見させて頂きました!
始まりから、両親のもとから離れるという、インパクトのある書き出しですね。主人公を連れて行く人、母親の最後に言い残した「粗相のない様に」と、我が子の連れて行かれる所を知っている様な意味深の言葉。
主人公は、一体、何所へ連れて行かれるのか大変に気になります(^0^)

リンクのお誘いの件、大変嬉しく思っております。
是非、私もc.pさんのリンクを貼らせて頂きたいです。

これから、ちょこちょこご訪問させて頂きますので、どうぞ宜しくお願い致します♪

素早い突っ込みありがとうです(^_-)-☆ 

あ。Mの間違いでしたw 
勘違いじゃないですw Sと名乗った事もあります。でも、どっちなんでしょう?激しくSな時とMな時があります。中間では本能的には萌えない(つまり変態?)
優しさには心満たされて幸福になります。替え難い安息です。でも、本能は別なんです……って、何語ってんだっ。
済みません。管理人が勝手に喋ってるのです。ハラを押されると鳴く人形です。いまだ笑い袋になってない分、マシな方です。

男子諸君の来訪、すみません、って、思いますね。今迄はなるべく足跡つかないように訪問していたのですが(^^ゞ

ハイw これからも宜しくお願いたしますですw リリー様の方も期待して読ませて頂きます。(何の期待だ(^^ゞ)

 S? SってサディストのSですか? え、pierrotさんはS仲間じゃなかったんですかっ?(私の勘違いだったのかっ?!)
 うーん、わかります。男子諸君の来訪。私も、足跡見て、すみません、っていつも思ってます……。
 ネタバレさせてしまってごめんなさい。大丈夫そうなので、これからも読みます♪

ありがとうございます!

Comment
>>リリー様 
予告から楽しみにして頂き、早速のお祝いの言葉ありがとうございます!!
いきなりのテンプレ変更にも関わらず、追いかけてきて下さって嬉しいです!ありがとうございますw感涙
的を得たコメント、ばっちこーい!(笑)
Sに転職しようかしら。どきどきw

早速、P……管理人、管理の件でヘマをしました。
どっちでログインしたのかを忘れるんですよ。
本日、熱くてニヒルでクールなテイストがモロにツボな現役男子高校生のブログに出くわしまして、『気に入った!』と読みまくり、先方がこちらを辿って下さったまでは良かったのですが、足跡はcircusの方で……。回れ右して帰った模様です、ハイ。
「正しい選択だ。少年( ̄ー ̄)+」
(管理の問題じゃないだろ、これ)

ハイw 雪国っぽいw 今が暑いからぴったりですw
(黒基調のテンプレはさすがに暑かった)


正直、ホラーかなぁ?と迷ったのですが、ジャンルを一つに縛りたくなくて、なるべく広くとホラーを選択しましたwそんな要素も無きにしも非ずってな内容なので?
『これぞホラー!』ってな場面は無いです。ただ、神が泊まるってなくらいですから、得体の知れないものが、人に憑きます。ってな設……って!初っ端からネタバレ!?

管理人が怖いと思う物は、例えば、掘り出し物の古びた日常品に、選る事が出来なかった人生の遣る方無い老婆の想いが感じられる時です。(どんな感じだ)
怖いものは人それぞれという事で(^^ゞ多分怖くないですよ。
また来てくださいwお待ちしてます。

一番のり

  circusの方に行って、別の所に来たのかとびっくりしました!
 新ブログ開設おめでとうございます! 
 一つの小説に一つのブログって、イメージ的にも、すっきりして気持ちいいですね。(管理が大変そうですけど) テンプレートも、雪国っぽく涼しい感じです。 予告から楽しみにしてました。
 コメント減ってるの言われて気づきました。了解です。私は、コメント返しがいっぱいだと、いっぱいお返事もらった〜と思って単純にいつもすごく嬉しいですヨ♪
 クリックしたら、ホラー小説ってことになってました。こわいんですか? どきどき。
 こわいコメンテイターが追いかけてきてすみません(^^;)

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