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タダ読みたくて

自作小説「神泊村」を連載しているブログです

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蛇神-喜右ヱ門編 8

 暫くはそれ迄のように、喜右ヱ門と光希は、互いに我関せずの様子が続いた。

 笑いもしなければ、用もなく話しかけもしない。

 中学に入ってからというもの光希は、見るからに授業に遅れがちになり、姥様の命で、識峰が見ている光希の勉強時間に喜右ヱ門も加わるようになった。
 否応なしに一緒に過ごす時間が増えた。
 授業の事で光希がよく質問してきてそれに答えたり、神社の雑事を一から教えたりしている内に、ぎこちなさがお互い徐々に取れてきた。

 同じ夜に親を亡くしている所為もあるだろう。
 独り寂しい想いを、紛らわし分かち合うかのように、些細な事でも声を掛け合うようになった。

 普段から話し掛ける同年齢の子供が、その頃には村に、二人きりとなった所為もあるだろう。
 特に何もなくとも、自然と声を掛け合う人が居る大切さを、喜右ヱ門は感じ始めていった。

 人と触れ合う基本的がなっていなかった。
 母が神主になる以前からの態度は、村人達の態度とも同じだった。
 この地に神泊の血をもたらした、女性に仕えていた修験者の立場は、五百年の歳月を経ても変わらないのか。
 自分達神泊の血を引く者を、神泊処へと送る、打橋を掛ける者として、屠殺人に対するような思いがあるのか
 子供の少ない村ならば、大切にされてしかるべきところだ。

 神奴だからと。神事を守るべく、口を硬く閉じよと。

 それだけを子供の喜右ヱ門に言い聞かせ、慣れ親しんだ扱いをせず、一線を引いた。それしか知らずに育った喜右ヱ門には、寂しいという感情を抱く事もなく、我知らず他も知らず、孤独だった。

 祖母のチヨ婆さまも。
 姥様の妹という肩書きも、斎家に入ると何の意味もなさないのか。神主になった母とは違い、体面上は「さま」付けではあるが、村内、実質は敬われもせず、打ち解けて村人と話している様子などないに等しく、老いた身で何処にも行けず、寂しい思いをしていたに違いない。

 祖母も喜右ヱ門も、元が世話好きな所為か、何やかんやと光希の世話を焼き、傍に居る内に、家族に似た空気を持つようになった。
 沈みがちだった光希も、よく笑顔を見せるようになった。

 家族のように……。


 | 目次 | 

別窓 | 第4章 告白→6 蛇神-喜右衛門 | コメント:4 | トラックバック:0
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この記事のコメント

■楓さんへ
コメントありがとうございますv
いっそひと思いに……、やってくれぃっ、という、楓さんの叫びがっ
すみません、じわじわ (^^;ゞ
「ひと思いに」という楓さんの言葉に、大ウケしちゃいました☆

桜の魅力にすっかりとり憑かれている管理人。
ものすっごい良いなんて、ものすっごい照れ嬉しいですww(^^
月と桜っ、いいですよねっ、和です~♪
闇に尚白く鮮やかに、くっきりと見える、月と桜♪
それでいて本当に、奥ゆかしさがあって……。
しみじみと、やっぱりいいなぁと思いますw
リアル桜は、こちらでは地面が白くなるほど散り始めましたv

エモンと光希の関係の変移、汲み取ってくれて、ありがとうです!
冬季が居た時の三人は、互いを意識した三つ巴の状態だったんじゃないかなと思い、入れましたv
村のシステムの異常さ。異常を異常だと指摘くださる楓さんは、
やっぱり一郎に似ている、と、思わずにはいられない管理人♪
エモンの話を聞きながら一郎も、まだか~まだか~と、ジリジリしています。
破綻♪一郎は、それをいち早く促す存在といったところで、
尚且つ、破綻の嵐に光希が進むべき道を踏み誤らないよう、
ところどころで手を差し伸べる存在にしたいなぁと、
手綱配分を必死こいて考えている管理人(苦笑)
今はまだ、“歪な状況が歪な影響を与える“
え、えと。(恐る恐る)じわじわと、です(^^;ゞ


■kazuさんへ
こんばんはです☆コメントありがとうございますv
うふふ♪kazuさんの後ろに尻尾が見えるww

親というものは、どんな親であっても、子にとっては存在感が大きく、
失った時は、どのようなであれ、穴がぽっかりあくんだろうな、と思いました。
出来るなら、失ったところには、優しいもので埋めたいもの。
光希もエモンも、求めるものが同じで。互いが居る事で、埋まるところがあった。
考えれば考える程、二人の間には強い絆があるように思えて、羨ましい(←え)
更には、光希には識峰様という、存在が居る。
これが罠をしかけずにおられるものか。(←おいおい)
チヨ婆さん、何気にエモンの後ろに♪
う、うふ(汗)kazuさんを姥様が蹴るなんて、しません。
代わりに、きっと、にやりと笑う……怖っ。
海千山千の姥ですっ。注意ですっ。
この章の最後には、アンビリーバボーな展開……になるかな?
管理人、尻尾を隠さなきゃ(笑)


■chachaさんへ
コメントありがとうございます♪
このテンプレをつくってくれた方に感謝です☆
綺麗ですよね♪桜は白にも黒にも似合うなんて憎い花です(笑)
すっかりメロメロの管理人ですv

おぉ!目次へ☆気付いてくれましたか!嬉しいですv
画像にリンクを貼るやり方を、管理人、最近になって漸く覚えましたv
是非wChachaさんが選ぶ画像、楽しみです♪(^^

エモン、あのような事があった後で、
しかも辛抱強い彼ですので、心を開くにも時間と経緯が必要でしたv
一郎は、一足飛びでしたが(笑)
嫌悪感を抱き、距離を取っていた方が、
自然かと思いました。光希も少しずつ……。
より深く信頼し合えるようになり、家族のような存在に。
えへへ(^^;ゞ大きな影が、徐々に明らかになってゆきます☆
う~ん。光希とエモン、再び笑い合える日が来るだろうか?(←え)
2007-04-10 Tue 23:52 | URL | c.p #-[ 内容変更]
テンプレ変わりましたね~^^
とっても素敵です☆お話にもぴったりだと思います~!
そして、目次は写真をクリックすると飛んでいける仕組みになったわけですか☆
そのシステムも素敵です~!私もしてみようかな・・・ふふ^^

エモンくん、やっぱりはじめから光希に心開いていたわけではなく・・・
逆に、嫌悪感も抱いたりして、距離を少しとっていた。
けれど、それが除除に近づいていったのは、こういった経緯があったからなのですね^^
光希もエモンくんに少しずつ心打ち解けていって・・・
やっぱり同年代の子供が二人だけっていうのが、一番きっかけとなったんでしょう。

少しずつで、いい。
家族のように笑い合えるような、そんな仲になれるのなら。
でも、今後の展開には大きな影があるはずで・・・
う~ん、ドキドキします><
2007-04-10 Tue 12:53 | URL | chacha #-[ 内容変更]
あぁ、いいですね。いっそ一思いに・・・うふふ・・・←一番恐い奴
c.pさん、こんばんは♪
エモンくんと光希くん。
こうやって打ち解けていったのですね。
光希くんは優しかった両親。
エモンくんにとっては例え冷たくても、たった一人の母親。
親を亡くした寂しさを、お互いの中に見出して。
姥様、いーことするじゃーん☆一緒に勉強させてくれてありがと~
・・・・蹴飛ばされそうだ@@;
エモンくんにはチヨばあさんがいる。
エモンくんとチヨ婆さん、2人がいてくれたからこそ、そして識峰様がいてくれたから光希くんは立ち直れたんですね。
・・・・、うぅ続きがきになるです!!
2007-04-09 Mon 19:45 | URL | kazu osino #7av6LuR2[ 内容変更]
お。
テンプレ変わりましたね。
この前のも神秘的でしたが、これまたいいですね。
何というか、和であって奥ゆかしく、どこか神秘的。
さくらと下弦の月・・・で合ってるのかな??・・・のコントラストが何ともこの作品の雰囲気とマッチしていてものっすごい良いと思います♪
コメント欄も書きやすいし、これは相当あたりでは?
で、ですね。
エモン君ですが・・・
にゃるほど。こうして二人は心を通わせていったんですね。
この頃、冬季君は村外に出、残された同年代と言えば、
光希君とエモン君しかいなかった・・・
これまたこの村の偏った歪(いびつ)な社会現象を如実に表しているなぁと、沸々と感じ入ってしまいました。どう考えても異常・・・ですよね。
必ずこのままではこの村のシステムは破綻する・・・
その綻びが、しわ寄せが、子供達・・・光希君やエモン君に降りかかるわけで・・・
嗚呼、このじわじわ感、いったいどこまで続くのでしょう?
いっそ・・・いっそひと思いに・・・←おいおい。汗
2007-04-09 Mon 19:20 | URL | 楓 #u2lyCPR2[ 内容変更]
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