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タダ読みたくて

自作小説「神泊村」を連載しているブログです

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識峰 1

「光希っ」
社務所の明りが届く範囲まで、一郎が追いついてきた。識峰と対峙するかのように真正面の位置で足を止める。
「あんた……は……」
思いがけない人の登場で勢いが削がれたのか、一郎の声は、有り得ないとでも言いたげなものだった。

ふっ……

息とも笑み声ともとれるものを零したのは識峰だった。穏やかに微笑んでいる。
瞬間、見た事もないような敵意剥き出しの鮮やかなものに、一郎の光が変わった。
「現神主の識峰様だ」
遅れてきた冬季が一郎に教え、その肩を押さえた。

私は裏口へと足を進めた。
白い着物の腕がゆっくりとした仕草で入るよう促す。
「夜遅く、山を彷徨(うろつ)いて良いものでは、ない、よ」
「申し訳ありません」
識峰は真顔を一郎達の方へ向けた。
「特に、呼ばれもしない信者は。山に上った事は不問に付す。……が、二度上れば、そうもゆかぬ。大人しくしているが、良(い)い」

「光希!!」
怒気を含んだ声にびくりとして振り返った。
「……戻ってくれ……」
手が大きく差し伸べられていた。

あの手の熱は知っている。

戸口の内へと足を入れた。
今度こそ村に居られなくなるぞ、と声が起きた。
冬季が一郎を抱え押さえていた。
自らも入りながら識峰が静かに通用口の扉を閉めた。



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別窓 | 第5章 逢瀬山→2 識峰 | コメント:0 | トラックバック:0
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