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タダ読みたくて

自作小説「神泊村」を連載しているブログです

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衝撃 4

 遠目でも分る端正な顔立ち。
 神泊処の遣戸が開かれており、薄暗い室内の中央に、白い着物が映えて見える。
 識峰がこちらを見ていた。
 咄嗟に私は一郎を突き放した。
 聞かれた……。

「光希」
 すぐ後ろで名を呼ばれた。いつになく真剣な、攻撃前の緊張ともとれる声色。
 一郎のその様子に、はっとした。
 識仁様が神泊処に居る、という事は、神霊がもう傍迄来ている、という事だ。
 よくよく見れば、識峰の肌が死人のように青白い。
 そして、長い事待っていた相手に漸く会えた時のような、笑みを徐々に浮かべた。
 あの夜……の。

 視界が眩しい光に塞がれた。
「馬鹿っ。ここを出るぞ」
 前に立ち塞がった一郎の腕を取って拝殿の表へ向かった。
「馬鹿はそっちだ。追いかけられるぞ」
「大丈夫だ。橋が渡されなくば、出られない。そう言っただろう」
 二人揃って拝殿の外へと駆け出した。まさしく裸足で逃げ出したのだが、雪の上だから構わない。

 社務所に戻ると、姥様の息子達が既に慌ただしく準備に走り回っていた。神泊りが始まっている事を伝えると、一郎と一緒に拝殿に居た事を咎められたが、伝えた事で更に慌ただしくなった。一郎は宿泊所の自室に謹慎を言いつけられ、私は息子達の代わりに通常の雑事に追われ、その日は顔を合わせる事はもうなかった。


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