FC2ブログ

タダ読みたくて

自作小説「神泊村」を連載しているブログです

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告
∧top | under∨

温もり 2

「おっ。でかい車だな」
 一郎は駐車場に着くと嬉しそうに湯浅の車の周りを回った。手伝いに来た筈なのに私と湯浅を放って、宿泊所へと入っていく。
 私は車の事に詳しくないので、湯浅の車がどういった物であるのかは良く分らないのだが、簡単に言えば、タイヤが大きく、トランクの扉を開けると屋根になる、ワゴン車だ。
 待っても一郎が戻らないので、湯浅と私とでカメラ機材の入った重く大きな箱を雪の上に次々と降ろした。
 終わった頃に、バンッ、という爆発音のような音が、山よりの方から聞こえてきた。
 何だ?
 私と湯浅が交互に顔を見合わせた時に、一郎が走って戻ってきた。手にはDパックが提げられている。
「降ろし終わったか」
「荷物など持ってどうしたのだ?」
「こうしようと思って、な」
 どん、と胸を押され、倒れた。丁度トランクの中だったが、次いで足まで、ひょい、と持ち上げられて押し込まれた。慌てて起き上がったが、扉が閉められた。硝子窓を叩き、思わずノブを探したが、元よりトランクにノブはない。
 どっ、どういうつもりだっ。
 外では同じ様に湯浅が、何をっ?、と驚いた声を上げている。
 今し方降ろした荷物を載せる為に後部座席は畳まれた状態だったので、すぐにサイドドアの所迄移動した。初めて乗る車で、人工物を見る不得意さもあり、なかなかノブを見付けられないでると、外から湯浅の一層驚いた声が聞こえた。
「何をっ?返しなさいっ。君っ」

 がちゃ

 運転席のドアが開かた。
 湯浅かと思ったら、Dパックが放り込まれてきた。
「危ないぜっ。おっさんっ」
 慣れた風に一郎は運転席に乗り込んだ。すぐにエンジンが掛けられた。
 フロントガラスの前を、慌てふためいた湯浅が横切った。
「お前が何故、キーを持っているっ?」
「エンジンを止めなさいっ」
 助手席に湯浅が乗り込んできたが、ドアを閉め切らない内に発車され、すぐにブレーキが踏まれた。 振動により、後ろに倒れ、起き上がろうとすると今度は前に振られ、前席の背凭れに体をぶつけた。 湯浅も同じような有様だった。再び急発進し、駐車場を出た。
「き、機材が……」
 湯浅が悲痛な声を上げた。
「避ける様にハンドル切ったぜっ。ぶつかった感じなかったろっ」
「何を考えているんだっ」
 私と湯浅の抗議の声が重なった。
「免許を持っているのかっ?」
「ねぇよっ。んなモンっ」
 異口同音の質問に、一郎は豪快に笑って応えた。
 私と湯浅は、同じ様に唖然とした。
 車は、あっという間に村を出て、外の世界とを隔ててる杉林の道を走り出し、後方の家々は小さくなり、見えなくなった。


 | 目次 | 



やっと村を出ました……><。
別窓 | 第6章 雪催い→6 温もり | コメント:0 | トラックバック:0
∧top | under∨
<<TOP | タダ読みたくて | 温もり 1>>

この記事のコメント

∧top | under∨

コメントの投稿

 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック

トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
∧top | under∨
| タダ読みたくて |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。